体験と感動が生きる力  南山仁嗣さん(遠別町)

日本の稲作の北限地帯、留萌管内北部のマチ遠別町。
寒さに強いもち米「はくちょうもち」を栽培する地だ。この地を切り拓いた先人達への感謝とともに、誇りを持ち、日々、農業の心を伝える人がいる。

農民という言葉が似合う人といえるだろう、南山さん。

農民という言葉が似合う人といえるだろう、南山さん。

治34年、南山仁嗣さんの曾祖父仁太郎氏は福井県から入植した。仁嗣さんは四代目にあたる。 29年振りに南山家に生まれた男子として大切に育てられた。それは南山さんの名前に表されている。 仁太郎氏の大いなる志を継いでほしいとの期待を込めて「仁嗣」と名付けられたのだ。
 幼い頃から将来は家業を継ぐのだと気持ちを持っていた南山さんは、大学で農業経済学を学んだ。 「大学時代の体験や、出会った人から大切なことを教えてもらった。それが、今の私の基礎だと思う。 体験することが生きる力の源と知ったのもこの頃だな」。
 卒業後は故郷に戻り、初心どおり、家業を継ぎ先祖伝来の土地を耕してきた。 結婚し家族にも恵まれ、順風な人生を歩んでいたが、最愛の妻を病気で亡くすという悲しみにも襲われた。 入院し闘病生活を送る妻に宛て、毎日、手紙を書き、子供達との暮らしぶりを伝えた。南山さんは語る。 平穏に暮らしていたなら、心を伝えることの大切さに気づかなかったかもしれないと。

遠別町には稲作最北の地の標がある。もち米は自慢の産物だ。

遠別町には稲作最北の地の標がある。もち米は自慢の産物だ。

黄色は南山さんのイメージカラー。元気色!どんな場所にも、黄色の愛車で駆けつける。

黄色は南山さんのイメージカラー。元気色!どんな場所にも、黄色の愛車で駆けつける。

週土曜日、午前9時すぎ。
 コミュニティ放送局FMもえるのスタジオから南山さんの元気な声が町中に響く。 「お早うございます!110kmの道のりを今日もやって参りました〜」。
あいさつの言葉どおり、毎週末、愛車を走らせやってくる南山さん。 南山さんが住む遠別町と留萌市とは110kmも離れている。無論、コミュニティ放送局の電波は遠別町には届かない。 番組のタイトルは『南山の元気印アワー』、話題は日々の農作業、日本の農業の未来、教育問題、人生観など幅広い。 ファンも多い。愛車は遠目からも目立つ鮮やかな黄色。車体の四方とルーフには黒い大きな文字で、 遠別町の農作物や遠別農業高校のことが書かれている宣伝カーだ。
 安全安心な地元のうまいものを食べ、きれいな空気を吸い、自然に恵まれた環境で生きている誇りを、 多くの人々に伝えることが、明治に入植した曾祖父や先人達の遺志を継ぐものとして今やるべきことだと信じているからこそできることなのだ。 2010年の夏、留萌管内北部地域の農業は大雨により甚害を被害を受けた。「こんな大雨は自分が知る限り初めてだ。 でも、これもひとつの体験として生きる力に変えていかなきゃならんべさ」確信ともいえる力強さ。まさしく地に足をつけ、踏ん張って生きる人の言葉だ。

『南山の元気印アワー』毎週土曜日午前9時から留萌市のコミュニティエフエム「FMもえる」(周波数76.9MHz)にて放送中。農業者として、また、遠別農業高校教育振興会の会長として遠別町をPR

『南山の元気印アワー』毎週土曜日午前9時から留萌市のコミュニティエフエム「FMもえる」(周波数76.9MHz)にて放送中。農業者として、また、遠別農業高校教育振興会の会長として遠別町をPR

プロフィール  南山仁嗣(ひとし)さん

昭和29年生まれ 遠別町在住
農事組合法人カントリー生産組合 理事
北海道遠別農業高等学校教育振興会 会長
エフエムもえるボランティアパーソナリティ