『あたぼう』の心で繋がる社会へ  福澤和雄さん(小平町)

小平町寧楽は山合いの集落。この地に身体的•精神的に生きづらさを抱える人々が共に、 それぞれができることで協力しあいながら生きている。寧楽共働学舎。 その創設者、福澤さんはひとりひとりの心と向き合い、今日も生きる。

NPO共働学舎代表・福澤和雄さん

NPO共働学舎代表・福澤和雄さん

和22年、福澤さんは東京日本橋に生まれた。いわゆる下町だ。父は理髪店を営んでいた。 子供の頃の福田さんは、近所のガキ大将達と路地や空き地で遊ぶ、近所でも有名な腕白坊主だった。 下町の人々は、よその子、自分の子、拘らず地域の子供たちを見守っていた。福田さんのあだ名は『壊し屋のカズオ』。 時計やラジオを分解しては、その好奇心を満たす少年だった。
 中学へ進学するとき、福田さんの個性を育む学校として選んだのが、両親が選んだのは自由学園だった。 どんな場所でも、自ら考え行動する人を育てることを理念とし、畜産や農作業も教育に取り入れた学校であった。 普通の中学校とは教育方針も違っていた。生活の基本は寮生活、同級生、上級生、下級生との24時間の生活が始まった。 自由学園に入学してから最高学部卒業までの10年間を過ごすこととなった。子供の頃から、むき出しの大地が大好きだった福澤さんは、 土のある暮らし、樹木、昆虫、自然という命と向き合う生き方をこの学園で培った。
 その後、自由学園時代の恩師である宮嶋真一郎氏が創設した共働学舎に参画し、北海道へ移住した。

豚は寧楽共働学舎を支える大切な家畜だ

豚は寧楽共働学舎を支える大切な家畜だ

平飼いの鶏が産む卵は人気がある

平飼いの鶏が産む卵は人気がある

働学舎は競争社会ではなく協力社会を理想とし、農業を基盤とした手作りの暮らしを続ける組織だ。 社会の決められた枠の中で生きづらさを感じている人々が、ひとつ屋根の下で暮らしている。
 豚を育て、平飼いの鶏が産む卵を集め、餌をやり、清掃をする。豚肉と鶏卵は、生計のために販売する。 食に関心を持つ人、支援者らが楽しみにしている安心安全な食材を提供する傍ら、自分達の自給用として米や野菜も作っている。
 「デコとボコ(凸と凹)、ジグソーパズルのピースのように、違う姿と心を持った命同士が繋がり 、安心して暮らせるモデルケース」と共働学舎を表現する福澤さん。ここでは効率という言葉は決して優先されない。
 みんなで働き、ともに泣き笑う。血縁としての家族ではないが、当たり前の日々の営みがある。
福澤さんには心に残る言葉がある。自身が育った下町で飛び交った言葉 「あたぼうよ!」。この言葉が大好きだ。
 「あたぼうよ!」は、『当たり前だ、べらぼうめ』が短くなったもの。 近所同士、世話を焼き、素直にありがとうが言える暮らしがあった。

メンバーみんなで米の収穫。ひとりひとりにできることがある。

メンバーみんなで米の収穫。ひとりひとりにできることがある。

楽に共働学舎の灯りがともってから30年が経つ。
 高齢の仲間も増えた今、これからは互いが見守りあい、看取ることが課題だと福澤さんは考えている。 ありがとう、あたぼうよ。 ありがとう、なんもさ。
 時代と場所が変わっても、この言葉の精神を静かに伝え続けていくのだ。

みんなでつくろう(共働学舎 作)

みんなでつくろう米も野菜も
みんなでつくろうお豆も芋も
自然のめぐみあふれるよ
みんなでつくろうあたたかいうち
みんなでつくろうよろこびのうた
ひとつの家族兄弟だ
みんなでつくろう本当の世界
草木も鳥も
虫もみみずも
命はおなじ
ともだちだ

プロフィール 福澤和雄(ふくざわかずお)さん

昭和22年生まれ 小平町在住
NPO共働学舎 理事長
寧楽共働学舎 創設者
http://www.kyodogakusya.or.jp/